共犯者

日本食レストラン「TAKUMI」のチェーン店開の成功した女性社長・内堀江梨子（賀来千香子）は、ＩＴ業界の革命児といわれる会社社長・倭誠一（佐野史郎 ）との会食が「親密デート」としてマスコミに報道されたと知り、思わず顔をくもらせた。実は、江梨子には誰にも明かせないある過去があった。この騒ぎで過去が暴かれることを、江梨子は心底恐れていたのだ。８年前神戸の卸売市場で作業員として働いていた江梨子は、同時にお好み焼き屋をやり、病気の母・佳代子（加藤治子 ）の手術代を貯めていた。辛い生活を続ける江梨子は、ある日同じ市場で働いていた町田夏海（とよた真帆）に誘われて、芦屋の豪邸に侵入して、１億円の現金を盗み出した。その際、江梨子に掴み掛かろうとした老主人が、押し倒されたショックで心臓マヒを起して死亡していた。その後、２人は、１億円を均等に山分けし、二度と会わない、口にしない、連絡を取り合わない、そして、決して相手の居場所を探さないと固く誓いあったのだ。自分の写真と名前が全国に流れたと知った江梨子は、急に夏海のことが気になり出した。夏海がユスリにこないだろうか、という疑心暗鬼が江梨子を襲い、仕事にも支障をきたすようになった。そんな…